TOPIC

編集部が自信をもって集めた、LOHASな情報をお届けしてゆきます。


  • 四季折々 ー和菓子の歳時記ー 第10回

    花菖蒲 <皐月から水無月>

    2017.06.01

    「和菓子」は季節を目と味覚で感じることのできる食べ物です。
    食べてしまえば終わりの小さなお菓子の一つ一つは、俳句や物語の言葉、花の名前などからつけられた銘という名前があり、四季や月ごとに移ろってゆく自然を、色や形で表現しています。

    身近にある食べ物だからこそ、美味しいね、可愛いね、綺麗だねの言葉のほかにお菓子に込められた思いや歴史を感じて頂きたくて、作り方、材料、名前の由来などなどを織り交ぜて、この「四季折々」をお届けします。


    菓 銘/「花菖蒲」
    原材料/ 白あん、卵黄、砂糖、水あめ、着色料

    黄身あんで作った花芯を、紫色と白2色の練りきりあんで包みました。
    二月は梅、三月は桃、四月は桜と薄紅色の花の和菓子が女の子のお節句を挟んで春の訪れを教えてくれます。
    そして、五月はこどもの日にちなんだ柏餅、粽など野趣あふれる新緑を表すものが多い中、菖蒲の紫と花芯の黄色の凛とした爽やかさを、しっとりとした練りきりで表しました。

    <皐月から水無月>

    男の子の成長を祝う端午の節句は五節句の中のひとつ。
    鯉幟や吹き流しをたて、畳のにおいも瑞々しい風が吹き抜ける座敷に飾られた、武者人形に兜とともに供えられた和菓子たち。
    粽の笹、菖蒲湯はともに邪気を払う、柏餅の柏の葉は枯れても葉が落ちず翌年新しい芽をつけることから家系が絶えないとして江戸時代からの縁起物。
    先人が飾りもの、お菓子にも子供の成長と健康を願って思いを込めて整えたものが、今では店先のショーケースの中でしか出会うことができないことは残念な気がします。
    この時期の和菓子は躑躅(つつじ)、や藤。桜が終わって若葉の季節の間で赤や白の花をつける艶やかな岩根躑躅は「源氏物語」の中でも親しまれ、練りきりや、きんとん外郎などでその姿を見たてます。

    藤は、葛物から薯蕷饅頭まで様々な種類で薄紫の花房を表現されています。
    五月下旬から六月上旬は鮎の解禁日。
    魚を題材にした和菓子に代表されるのが求肥を包んだ若鮎。
    六月十六日は「和菓子の日」遡ること江戸時代に暑さで病気にかからないように、災いを避けるようにと、嘉承菓子を食べて乗り切ろうという盛大な催しも明治以降に、すたれてしまったのを、全国和菓子協会が新たに制定し和菓子の日が復活しました。
    クーラーもなく、衛生事情も良くなかった遠い昔六月の季節の変わり目を乗り切り夏に備える生活の知恵ともいえる行事も、季節の流れと寄り添った行事です。
    この時期は紫陽花の花が、梅雨のじめじめを涼やかな色でめで楽しめる和菓子のお題となります。


    和菓子製作・解説: ゆり屋 水嶼克代

    「ゆり屋」は、長年スタイリングやコーディネイトの世界を歩いてきた、水嶼克代が立ち上げた イベント企画、インテリアコーディネイトのオフィス「gigli」が、和菓子で時間や空間を演出する試みで プロデュースする和菓子ブランドです。

    手作りでしかできない世界にひとつだけの設えをして手渡した時に、喜ばれ、驚かれるのが嬉しくて、また作りを繰り返していくうちに依頼が来るようになりました。
    また和菓子はお茶の席で出されるものであるから、基本を頭に入れるため、茶道を習い、美しい包装をするためにラッピングを勉強し、アレンジしながら試行錯誤の繰り返しで現在のゆり屋の和菓子が出来上がりました。

    ゆり屋ホームページはこちらから